神霊界入門 -擂鉢地獄- 
2017/07/23 Sun. 14:00

本日は、第三回「擂鉢地獄」です。
よくよくご覧になってください。
では、以下が本文です。
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擂鉢地獄
第三番目の地獄にご案内いたします。
この地獄も恐怖満点といいますか、意地悪な言い方をすればスリル満点です。
見ると阿蘇山の火口のような、大きなすりばち状の穴があります。
直径はかなり大きく、ゆうに百メートルはあります。
すりばちの底は、熱湯が煮えたぎっており、ときおり硫黄臭い煙が、中央から立ち昇ってきます。
見方によっては溶岩がフツフツと湧いているようにも見えます。
何千人もの人が、まるで蟻のように群れをなして、
この巨大なすりばちから逃げ出そうとして崖をよじ登ってのですが、
我れ先にと思っている人ばかりで、自分の上をよじ登っている人の足首を握っては、引き擢り下ろしています。
永遠にそれを繰り返していますから、いつまでたっても、一人もこの擂鉢地獄から抜け出すことができないのです。
岩肌を石とともに、ゴロゴロと次々と転落してゆきます。
このあわれな人たちは、どうやら生きていたときに慈悲も愛もなく、
他人を蹴落としてきたエゴイストの集まりのようです。
けれども蟻のように、必死になって油汗をかいてよじ登っている人、一人ひとりを見るならば、
大会社の重役風の人や、学者風のインテリ顔をした人がけっこういるのに驚きます。
受験戦争や、出世競争で他人を情け容赦なく蹴落としてきた人たちが、そのツケをここで払っているのです。
崖の傾斜そのものは、それほど急でもなく、みなで助け合えば次々とこのすりばちからは逃れることができるのに、
その「助け合う」ということが、何十年、何百年たっても、わからない人たちが多いのです。
小桜から見れば、たったそれだけこと、どうしてわからないのかと思うのですが、
彼らは自分が助かることで頭がいっぱいなので、小桜の言葉になど耳を傾けてくれません。
「この忙しいときに、そんなくだらないたわごとを言わないでくれ。」といって撥ねつけられてしまうのです
他の地獄霊の方々も同じですが、結局本人の自覚が進むまでどうしようもないのです。
小桜たちも呆然として、この亡者たちの群れを眺めるだけでした。
人間として生きていたときに、どのような人生観を持つかということがいかに大切か、
しみじみと思われたことでした。
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いかがでしたでしょうか。
次回は第四回として「畜生地獄」を紹介しようと思います。
category: 擂鉢地獄
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